せっかく凍土に来ているんだからと、
ふらりと死火山の麓まで足を伸ばす。
頂上まで登るなら、一人じゃ無理だから誰かと一緒に登らないと…と考えてると
死火山で修行中のサムサラと偶然出会う。
久しぶりだなと、話しをしてると吹雪いていた雪が、急に逆回りに渦を巻いた
轟く雷鳴、吹雪の中眼を開けているのもやっとの中に見えた光は
雷光を纏う白く大きい存在 白龍だった
ダークエルフに呪われた時、白龍に頼むという話がでた
今までもちらりと耳にしてきた白龍という名前
大切な仲間が呪われると、皆白龍から雪華をもらおうと
孤独に聳え立つ死火山の山頂を目指していた
どこかの御伽話のような、そんな存在が目の前に現れた
白龍は堂々と白く美しい身体を起こし、
一度聞いたら忘れられないような声で言葉を発した
寒さも忘れてしまうようなひとときだった
白龍が持つ雪華は、望めば「自然」の形に戻す力があるという
白龍は雪華をこう語った
かつて人の世の伝承者は華を評してこう呼んだ 完全なる滅却パーフェクトキャンセレーション
天地万物に定まりし力を越えた一切を華は奪う 自然ならざる力の全てを消し去る 聖邪魔妖法精とを問わず 全て この力を手に入れる為に、冒険者たちは命をかけるのだ
神様のようで、神様でない
誠の願いを心に持つものだけに与えられる雪華
私の力では治せることができないものは「自然ならざる力」に値する
白き龍は、この世界を孤独な凍土という土地で見下ろしているのだろう
自然でないものを自然に還し
人々の争いもきっと自然な出来事と見ている
自分がとてもちっぽけな存在に思えた
それは寂しいとかネガティブな言葉でなくて、
ちっぽけな私は、なんだかまもられてる気がした
サムサラの手が温かい
暖炉の火が温かい